本物の男は、どこにいるの

 

太田春陽(著)

2018年11月15日 発売
ISBNコード 978-4909570352
四六判並製・234ージ

価格:1,674円(税込)

 

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この長編小説は、二人の青年の恋愛成長物語をテーマにしています。美術大学で学んだ自由と表現、しかし、美大を卒業したばかりの杉山にとって、学んだ自由と表現は卓上の自由であり自己のない表現でしかありませんでした。一度でもいい、学んだ自由をこの手で掴みたい、自らを素直に表わして真剣な愛を感じたい、杉山の願望でした。
無慈悲なエゴと欲望に凝り固まった社会を見るにつけ、杉山は憂鬱になります。しかも、欺瞞の愛に疲れ、恋人の自殺で自責の念に苦しむ彼は――本物の男を知りたい――と、密かな期待を持って、友人美穂と共にスペインへ旅立ちます。
和田画家から、プラド美術館に展示されているベラスケスの名作、ラスメニーナスの秘密、ゴヤの代表作の一つである衣装のマハ、裸のマハの秘密を明かされ、それに加え、産業革命を境に、社会に蔓延する欲望とエゴイズムがどのような過程を経て広がっていったのか、そこに芸術が深く関与していることに言及され、杉山と美穂は青天の霹靂にも似た驚きを持ちます。
本物と偽物の境界線がわからなくなった現代社会、杉山の求める本物はどこに……。

著者プロフィール

1950年11月29日愛媛県宇和島市生。職業、画家。
1978年:武蔵野美術大学、吉祥寺校絵画研究科、藤林叡三教室卒業。
1980-83年:スペイン王立アカデミーサンフェルナンド美術大学留学(現、マドリッドコンプルテンセ大学美術学部)。
1977-2016年:個展及び発表展多数。

入選受賞(代表)
1981年:スペイン国立美術研究所デッサン部門一席受賞。
1986年:マドリッド、ゴヤ賞展入選。
1986年―1992年:アルコARCOスペインインターナショナル現代絵画即売展示、イングアンソ画廊出品。
1993年:第8回スペイン王立アカデミーサンフェルナンドBMW絵画賞展名誉賞受賞